谷中探検記

谷中探検記      「谷中」〜共生の街〜

谷中探検記

 平成13年5月5日、風薫る五月の空の下に、3名が某区の職員、3名が都内某私立大の院生という奇妙な組み合わせの谷中探検隊6名が日暮里駅北口に集合。

 思い付くまま、気の向くままの探検隊なので、さーあ、これからどうしょうと歩き始め時、H女史の「赤塚べっ甲で買ったネックレスが壊れたので、修理に行きたいんですがー?」の一言で、行き先が決定。

 一同「赤塚べっ甲店」に足を進める。ゴールデンウイークからか、谷中の街に多くの人が訪れている。

 中高年のおじさん、おばさんに加え若者の姿が目立つ。若者が多くなると街に変化が起き、上野に近い土地柄かギャラリーや、個性豊かでハイセンスなショップが増え、そのことが、また若者を呼ぶという好ましい循環が続いている。(オープンカフェについても浅草にあるより谷中にある方が、遥かに絵になる)

 歩くこと10分で赤塚べっ甲店に到着。昨年の区のアトリエ化支援事業による店舗改装以降、お客さんや修学旅行の体験教室を希望する学校が口コミで増えたとのことで、今月は10日以降10数校が体験教室に来る予定です。店舗はアトリエ化によって垢抜けて来たことは勿論ですが、赤塚さん自身もユーザーとのコミュニケーションを通じて洗練されて来た感じがします。

 体験教室については、特に企業利益にはなりませんが、実際に体験した生徒たちが送ってくるお礼の手紙を読むのが楽しみであり、また仕事の励みになるそうです。(このことは、ヤスリの深沢さんも言っていました)

 また、奥さんが、「区のホームページを見て大阪からべっ甲の耳かきの注文があった」とおっしゃっていましたが、HP作成者としては、このようなコメントを聞くのは大変嬉しいことです。

 無事、ネックレスの修理も終え、これもまたアトリエ化支援事業該当の「アトリエ・アラン」に足を進めましたが、あいにくアランさんは不在で、硝子越しの店舗見学になってしまいました。
 「アトリエ・アラン」にも大きな変化があり、デザイン屏風の販売も始めました。

 「アトリエ・アラン」を後にして今回参加の6名中、3名が持参した『散歩の達人』(略してサンタツ)をナビゲーターにお食事処を探し谷中の街を歩き回るが、人出が多くどこも行列ができる店状態。

 そこでH女史が持つ、サンタツも目じゃない情報量を誇る谷中個店マップを頼りに寒天ラーメンの店「百」(もも)に辿り着き、遅い昼食の後、つつじ祭りで賑わう「根津神社」へと向かう。向かう途中の不忍通りにもセンスの良い店舗が目立ちオープンカフェも目に付きます。

 既につつじの見ごろも過ぎましたが、「根津神社」は露店も並び大変な賑わい。(露店に加えフリーマーケットが出ているのが、浅草寺と大きく異なる点です。)
 カメとハトとコイにハニーカステラのご馳走を与え、再び谷中へと向かう。今度の目的地(思い付くまま、気の向くままなのに何故、目的地か?それは、食べ物だからです)は、「愛玉子」だったのですが、午後3時なのに本日は売り切れで、既にお店が閉まっていました。(教訓:思い立ったら、直ぐ行動を!美味しいものは逃げて行く)

 次なる目的地は、アドマチック天国でも紹介された、今話題のフランス菓子の店「パティシェ イナムラ ショウゾウ」です。(既に探検隊のイニシアチブは女性2名が掌握していますね)

 「どこなの、どこなの」と探すうちに、ありました、ありました行列の出来ているお店が。先ほどの教訓を活かすとすれば、ここで並ばない手はなく、行列に加わることとなりました。

 行列は圧倒的に女性が多い。何故女性は並ぶのか?
 思うに「買う」という結果だけではなく、きっとプロセスも楽しんでいますね。「モンブランはまだ残っているかしら」「他にはどんなケーキがあるの」「夜はライトアップされるの?すごーく綺麗に違いないわ」etc。

 男性にはこのプロセスを楽しむ部分がない。谷中の行列のできる店は雑誌の紹介の仕方もあるが、多分このプロセスに当たる部分を重視しているに違いない。男性の来るところに女性は来ないが、女性の来るところに男性は来る。そう言えば自分もここに並んでいるし、一人住まいのY大生諸君も並んでいるではないか。と考えているうちに30分はあっと言う間に過ぎ、お目当ての「モンブラン」をゲット。

 (谷中の行列のできるお店やハイセンスなショップは、別に商店街に属している訳ではない。個店が顧客満足を演出するには相当の努力が必要であり、その努力により成功してお店がいくつもある。こう考えて行くと「産業行政て何?」とふと考えてしまう。)

 探検隊の諸氏も皆それぞれお目当てのものをゲットし、寛永寺を通り抜け上野駅へと向かう。こどもの日からか、上野公園は子供連れの家族連れで大混雑。公園口を避け、浜崎あゆみが懐かしい東西連絡橋から上野駅に到着。ここが本日のゴール地点。皆さんお疲れ様でした。
「谷中」〜共生の街〜

 谷中は動植物の宝庫である。
 路地裏の野良猫、血統証付きの飼い犬、墓地のカラス、根津神社のハト・コイ・カメ、木造アパートの窓の手すりにしがみ付くゴリラ(?)、いせ辰の猫、猫顔の赤塚さん(失礼!)、みかどパンのヒマラヤ杉、谷中霊園の大銀杏、四季の草花。
 谷中という狭い空間は人と動植物の「共生の空間」である。

 「共生」をもっと幅広い概念でとらえれば、由緒ある寺院とハイセンスなショップ、生活水路(?)が生活道路に変わったへび道の様に過去と現在の共生もある。また、谷中の坂すらも「上り」と「下り」が共に存在しているという意味で「共生」ではないか?

 谷中が今多くの人を魅了しているのは、恐らくこの「共生の空間」が奏でるハーモニーからであろう。
 このハーモニーは、ある人にとっては、完璧に調和の取れた音色かもしれないし、またある人にとっては、1/fゆらぎ波のように不規則と規則の調和の取れた状態かもしれないが、いずれにしても訪れる人に心地良い時間を与えることは、確かな様である。